北海道の挑戦者と応援者をつなぐピッチイベント「ほっとけないAWARD」プレイベント開催

「ほっとけないどう」では、6月から1カ月に1回のペースでピッチイベントが開催され、毎回2〜3名がプロジェクトを発表予定。

挑戦者と応援者をつなぎ新たな価値を生み出す「ほっとけないどう」とは

「どうなっちゃうの?」とみんなをドキドキさせるような、目が離せないことをやりたい。そんな”ほっとけない”北海道の未来に向けた新たなチャレンジを応援する「ほっとけないどう」のプレイベントが、2019年4月19日に開催されました。「ほっとけないどう」は、道内外の北海道を愛する人を軸に「挑戦者」と「応援者」をつなぐコミュニティを形成し、新しい価値を生み出す共創活動。北海道で挑戦するひとを増やし、北海道発の新しい価値を生むことを目指しています。

今回のイベントの会場となったコワーキングBAR大人座は、常時「ほっとけないBAR」として本プロジェクトの北海道拠点となります。店内は、ガラス張りで地上8階から札幌市内が見下ろせる、アンティークランプやウッドインテリアがあしらわれた広い空間。バーカウンターには白樺の皮が貼られており、北海道限定販売の生ビール「サッポロクラシック」やシングルモルトウイスキー、カクテルなどが楽しめます。

当日は立ち見も出るほどの大盛況ぶり。隣り合った来場者同士で自然と会話が始まり会場があたたまったころ、サッポロビール株式会社の清水さん、土代さんの挨拶で「ほっとけないどうAWARD」が始まりました。

サッポロビールのSDGsへの取り組みと「ほっとけないAWARD」のしくみ

札幌や東京・恵比寿など、発祥となった地域と共生しながらビジネスをしてきたサッポロビールは、2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の実現に関する取り組みとして、創業の地である北海道でビールの持つ「楽しさ」や「人をつなぐ力」に着目した新たな活動、「ほっとけないどう」を展開。北海道を、世界中のひとたちがほっとけないような魅力的な場所にしていくことを目指しています。

毎月2〜3名が登壇してプロジェクトを発表するピッチイベント「ほっとけないAWARD」では、各プロジェクトの目標・課題の共有、来場者とのブレインストーミング、アイデアの共有の後、登壇者の今後行う具体的なアクションが発表されます。

発表されたプロジェクトは後日Webサイトに掲載され、「カンパイ☆ファンディング」の対象となります。「カンパイ☆ファンディング」とは、ほっとけないどう公認の「ほっとけないBAR」で提供されるビール・飲料の売上の半分がプロジェクトに支援金として贈られる仕組み。期間はピッチ当日から約1ヶ月間となっており、投げ銭のような感覚でビールを楽しみながらプロジェクトを応援することができます。

「ほっとけないどう」スペシャルトークセッション

トークセッションでは、サッポロビール株式会社の土代さん、dot button company株式会社の中屋さん、株式会社大人の五十嵐さんが登壇。土代さんは、「ほっとけないどう」を始めた経緯として「北海道の活性化がサッポロビールの成長につながると考え『北海道Likers』というメディアを運営し北海道の魅力を発信してきたが、目的実現のためには、今の魅力を発信するだけではなく、北海道を舞台に新しい価値を生みだしていくことも必要と考えるようになり、その活動を推進する仕組みを作りたかった」ことをあげました。

しかし、最初はその仕組みをどう構築していけばよいか、かなり悩んだそうです。そんな中でとあるイベントで中屋さんと偶然出会い、具体的にプロジェクトが動き出したとのことです。「今日のイベントのように、同じ想いの人たちが集まって会ってしまえば、化学反応が起こって一気に加速し、建設的な意見が集まってきます。そのような世界を北海道を舞台に、『ほっとけないどう』の構想を土代さん、五十嵐さんと議論を重ね積み上げてきました」と中屋さん。そして、五十嵐さんは「いったん東京に出てしまうと、観光以外の北海道の情報に触れづらくなる。いま、どんな面白いことが起こっているのか、ぜんぜんわからなくなってしまうんです。そういうものが見れるメディアがあればいいなと思ったんです」と、「ほっとけないどう」に対する思いを語りました。

土代さんは「ほっとけないどう」について、「当社の起源は北海道開拓使にあって、今回の取り組みはまさに開拓(挑戦)をテーマにした活動です。あくまで北海道を活性化するための仕組みと言っていますが、今回の取り組みは、社員が改めて創業の精神に立ち戻り、自分たちが開拓者であり続けることを意識するきっかけになると思います。そういった意味で私自身が当事者であるという気持ちをもって活動に取り組んでいきたいと思っています」と話しました。

中屋さんもそれに大きく頷き、「自分の人生を振り返ると、困難なことばかりでした。若い頃はバンドをやって、アパレル会社にアルバイトで入って、マーケティングの勉強をしてIT企業に転職して。自分も常に挑戦してきたんだなと思います。だからこそ、このイベントで、北海道の挑戦者たちといっしょに何かできると考えているんです」と来場者へ語りかけました。

トークセッションは、五十嵐さんによる「ほっとけないBAR」の可能性についてのトークで終わりました。「北海道をワクワクする場所にしたい、北海道でドキドキしたい。そういう人たちと関わりたいんです。この『ほっとけないBAR』で色んな人が出会って、イマ、北海道なんか面白くなってきてるよね!という空気感を作りたい。その空気感が、なにより大事だと考えています。『ほっとけないBAR』が、挑戦者がふらっと集まる場になって、そういった空気感を作る土台になればいいなと思っています」

北海道で挑戦する登壇者3名によるプロジェクトピッチ

トークイベント後は、いよいよピッチ登壇者によるプロジェクトの目標・課題の共有プレゼンテーションがスタートします。実際に北海道で様々な挑戦をしている登壇者のピッチを前に、期待感で会場の熱気も高まります。

「北海道の豊かな子育て環境を知ってもらいたい」大塚 紗弓さん(株式会社Hokkaido Products )

最初のピッチ登壇者は、株式会社Hokkaido Productsの大塚 紗弓さん。北海道で採れた新鮮な野菜だけを使った無添加の離乳食「Hokkaido Made Baby Potage」を販売。また、大自然と美味しい食材のある北海道の豊かな子育て環境を世界中に発信するべく、「ベビポタサロン」を北海道内や東京、海外で展開しています。

大塚さんのブレストテーマは、「男女・世代の枠を超えて子育てを楽しむためにはどうしたらいいのか」。未来を考えようとするとき、子どものことは必ず考えなくてはなりません。では、それをどう社会やコミュニティ共通のものとして楽しんでいけるのかを、来場者といっしょに考えます。

「すべての人にモビリティインフラの提供を」武田 雄一郎さん(MuDDler株式会社)

2番目の登壇者は愛知県在住で自動車業界に勤務する傍ら、MuDDler株式会社のプロジェクトプロボノとして活動している武田 雄一郎さん。「北海道は美味しい食材や熱意ある人々など、価値のあるものがたくさんあるが、土地の広大さゆえに常に移動の困難さがついてまわる」と語ります。そこで武田さんは、厚真町とのコラボレーションによる「厚真町モビリティインフラ構想」を掲げ、自動車が中心となる社会において移動が制限される交通弱者が自由に使えるモビリティインフラの構築について発表されました。

武田さんのブレストテーマは、「実際に北海道に住む人たちは、どんなサービス連携を求めているのか」ということ。移動の自由を提供し、北海道に笑顔を増やすためには具体的になにをしたら良いのかをブレインストーミングで参加者と考えます。

「お菓子を通して多様な食文化を認めあえる社会に」柴田 アリサさん(株式会社TREASURE IN STOMACH CEO)

3番目の登壇者は株式会社TREASURE IN STOMACH CEOの柴田 アリサさん。乳・卵・小麦不使用のお菓子を販売する「Issue」を経営しています。”社会を考えるお菓子屋さん”と銘打った「Issue」は、食に関するリテラシーの底上げを目標としており、「なぜ遺伝子組換えの食材が生まれて今の時代にあり、どんなメリット・デメリットがあるのか」などを、科学的論説をもとにお菓子でわかりやすく解説する講座を開いています。

柴田さんは潜在層へのアプローチが今後の課題であるとし、そのためには「Issue」での取り組みがSNSで一般層まで拡散されることが必要であると考え、「わたしのことをバズらせて!」とブレストテーマで、来場者に呼びかけました。お菓子を通して多様な食文化を知るきっかけを提供するために、知名度をあげる。そのためにWeb上で何ができるのか、議論します。

会場の熱気は最高潮に!登壇者と来場者によるアイデアブレスト

すべての発表が終わったあとは、来場者自身が興味を持った登壇者のもとに集まりブレインストーミングが行われました。各発表の中で出された課題に対し、集まったひとりひとりが目を合わせて真剣な表情で、テンポよくアイデアが飛び交います。その熱量は、司会者がタイムアップを告げても会話が止まらないほどでした。

大塚さんのブレストテーマ「男女・世代の枠を超えて子育てを楽しむためにはどうしたらいいのか」に対しては、赤ちゃんに接する機会を増やすことが第一なのではないかという意見が上がり、子育てインターンやシルバー世代を巻き込むための仕組みづくりなどのアイデアが提案されました。大塚さんは、その一環の具体的なアクションとして、「Hokkaido Made Baby Potage」を一般の人に食べてもらい、いまの子育て環境を知ってもらうきっかけを作ることを最後のまとめで、宣言しました。

「実際に北海道に住む人たちは、どんなサービス連携を求めているのか」という課題を提示した武田さんは、様々なアイデアのなかから、妊婦などの自分で車を運転できないひと、移動に苦労するひとにサービスをプラスアルファできないか、という意見が心に残ったと話します。具体的なアクションとして、見えない需要を拾い上げ、人の移動にプラスアルファをした買い物代行サービスなど、手近なものから手をつけていくことを宣言しました。

「潜在層へのアプローチを狙ったSNS上での拡散」が課題であるとした柴田さん。ブレインストーミングの結果、宣言したのは、お菓子作りを化学式で解説する動画メディアを作ること。ちょうど社内で動画を作る仕組みができたばかりという柴田さんは、いままでになかった柔らかい伝え方で「超化学お菓子教室」を実現化していきます。

さまざまな交流とケミストリーが生まれる「ほっとけないBAR」での懇親会

アイデアの共有と登壇者のアクションが発表されたあとは、「ほっとけないBAR」での懇親会が行われました。登壇者と来場者、運営スタッフの垣根もこえて、年齢や業種も様々な方々が交流する場となり、ここからまた新たな挑戦が生まれていくような空気感に満ち満ちていました。

来場者の方からは、「ブレインストーミングの質が高くて、参加者のレベルの高さを感じた」や、「『ほっとけないAWARD』だけでなく、『ほっとけないBAR』が常設されることで、常にアイデアを発表したり相談できる場があるのが素晴らしい」などのご感想をいただきました。

「ほっとけないどう」では、6月から1カ月に1回のペースでピッチイベントが開催され、毎回2〜3名がプロジェクトを発表する予定の「ほっとけないどうAWARD」。道内・道外問わず各分野で活躍するひとを招いてのトークイベント「ほっとけないSHOW」なども開催が予定されています。

また、今回のイベントでピッチ登壇した大塚さん、武田さん、柴田さんのプロジェクトは、「カンパイ☆ファンディング」を通じて応援することができます。「ほっとけないBAR」でビール・飲料をご購入いただき、支援先のプロジェクトをご指定いただくと、売上の半分が贈られる、投げ銭感覚のファンディングです。6月7日(金)より開催しています。ご興味を持った方はぜひ「ほっとけないBAR」へご来店ください!

北海道を、たくさんの挑戦者と応援者でひしめく開拓精神あふれる場所に。みなさんのご参加を心よりお待ちしております!


(ライター 谷 翔悟)
(カメラマン 川島 彩水)