「挑戦者と応援者をつなぎたい」立ち上げメンバーが出会うまで

「このまま北海道を”ほっとけない”!」という情熱をもった3名が、このプロジェクトをスタートさせるにあたっての思いの丈を赤裸々に語る。

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北海道を軸に「挑戦する人」と「応援する人」をつなぐプロジェクトが発足した。

その名も「ほっとけないどう」。

地域活性の活動というのは、しばしば一方通行の発信で終わってしまうことがある。
そこに一石を投じるべく、”面白く”双方向のコミュニケーションを生み出すようなものを北海道を軸に作りたい。

そんな、「このまま北海道を”ほっとけない”!」という情熱をもった3名が、このプロジェクトをスタートさせるにあたっての思いの丈を赤裸々に語る。

「ほっとけないどう」プロジェクトメンバー

土代 裕也

サッポロビール株式会社
マーケティング開発部 ビジネス創出グループ
マネージャー

大阪生まれ大阪育ち。関西学院大学を卒業後、2003年サッポロビール株式会社入社。人事部門、営業部門を経て、2013年よりマーケティング業務に従事し、リサーチや「ヱビス」ブランドに関する商品開発を担当。2016年に新設されたマーケティング開発部に加わり、世界にひとつだけのビールをつくり、仲間とシェアできるサービス「HOPPIN’ GARAGE」の立上げや北海道好きのためのメディア「北海道Likers」の企画運営を手がける。

中屋 祐輔

dot button company株式会社 代表取締役
一般社団法人 BRIDGE KUMAMOTO 理事

大阪生まれ大阪育ち。大手アパレル企業にて顔認識技術を使ったデジタルサイネージを世界初導入、その後シナジーマーケティング株式会社にてテーマパークやセレクトショップなどのCRMを中心とした企業のマーケティング業務を支援、ヤフー株式会社にて若手漁師集団「FISHERMAN JAPAN」や、福島県農家を応援する「チームふくしまプライド。」のファンクラブの企画、運営アドバイスなどを行う。2016年の熊本震災直後に結成された「BRIDGE KUMAMOTO」に参画し2017年グッドデザイン賞特別賞を受賞したBLUE SEED BAGのマーケティングサポートを行なう。2017年3月よりdot button company株式会社を設立。

五十嵐 慎一郎

株式会社大人 代表取締役社長

北海道小樽市生まれ。大自然のなかすくすく育ち、札幌南高校を卒業したのち上京。紆余曲折を経て、東京大学建築学科卒。不動産のベンチャー会社に入社。2016年「北海道から、世界をちょっぴり面白くクリエイティブに」と、株式会社大人を設立。店舗や施設のプロデュース/デザイン業務にはじまり、イベントの企画運営、WEB制作を行う。最近は、北海道に特化したウェディングブランドLANDRESSを展開しながら、2019年札幌にコワーキングバー「大人座」を開店。北海道移住ドラフト会議や札幌移住計画の代表として、北海道に人を呼び込む動きを強化中。

「挑戦者と応援者をつなぎたい」立ち上げメンバーが出会うまで

あんちゃ:そもそもこの「ほっとけないどう」プロジェクトが始動したきっかけというか、出会いはなんだったんですか?一見仕事も境遇もバラバラの三名だと思うんですが……。

土代:元々サッポロビールでは、北海道の活性化が会社の成長にもつながると考え「北海道Likers」というメディアを運営していたんですよね。ただ、数年間運営してきてWEBサイトを通じて北海道の魅力を伝えるという「一方通行の発信」だけで良いのかと違和感を持ち始めて。

あんちゃ:確かにメディアで記事を配信するだけだと、コミュニケーションを取る機会はないですね……。

土代:そうなんです。そもそもサッポロビールの起源って北海道開拓使(※)に由来しているので、「開拓つまり挑戦をテーマにしたものが良いと思い、挑戦者と応援者をつなぐことで、北海道を舞台に新しい価値が生まれるような仕組みをつくりたい」と思うようになったんですね。(※)北方開拓のために明治2〜15年に置かれた日本の官庁

あんちゃ:挑戦者と応援者との間に双方向のコミュニケーションが生まれるようなものをつくりたい、と。

土代:ただそんなコンセプトは思いついたものの、ぼくは正直そこまで北海道の深いところ知っているわけでもないし、なにより思い描くような双方向のコミュニケーションを本当に実現できるかの確信もなくて。この想いに共感してくれる人に出会いたいなと思って、社外でいろいろとイベントに参加してみたんです。

あんちゃ:そこで中屋さんに出会ったわけですね!

土代:はい。「丸くない人が集まる会」っていうのがありまして。

あんちゃ:……丸くない人……???

中屋:既存の型にはまらない人=丸くない人だけが集まるイベントを仲間といっしょに毎年主催していて、そこに土代さんが参加してくれたのがきっかけでした。

あんちゃ:どこにきっかけが転がってるかわからないもんですねぇ。

中屋:当初ぼくの気持ちとしては「サッポロビールさん、このイベントのスポンサーになってくれないかな〜」という淡い期待をもって掛け合ったんですけど(笑)、この出会いをきっかけに土代さんと関わることになりました。

土代:サッポロビールの理念に「丸くなるな、星になれ」っていうのがあるんですが、まさにその言葉がつないだ縁ですね。一方でスポンサーの方は大したことできてないですけどね(笑)

土代:最初の1年くらいは中屋さんと一緒に北海道Likersの見直しやリサーチをしてましたね。

中屋:その中で、「そういえば2人とも北海道出身じゃないし、このプロジェクトをやるにあたって上滑りするんじゃないか?」という懸念が出てきて、北海道のリアルを知っていそうな五十嵐君を召喚しました。

五十嵐:中屋さんからいきなり「北海道で誰か若手のイケてる人いない?」って連絡来ましたもん(笑)

中屋:そういえば五十嵐君もたまたま「丸くない人の会」に参加してたよね。その時はまだ存在を認識していなかったけど(笑)そこからこの3人でイベントを開催してみたりして、北海道で活躍する人たちとか北海道愛が強い人たちのリアルが見えてきて、具体的な道のりが見えてきたんですよね。

北海道が抱える問題を、”おもしろく”解決する

あんちゃ:北海道でも若手で活躍している人は徐々に増えてきたと肌感覚では思うんですが、逆に「ここが課題だな」って感じる部分はあったりしますか?

五十嵐:若手のチャレンジャーの多くが道外に出てしまうことかな。これは北海道に限らずだけど、ぼくも大学から上京してきたから、同じように上京してそのままずっと東京で働く人も多いんですよね。

あんちゃ:私も就職で上京したからよくわかる……。

五十嵐:でも、東京に出てきても北海道が好きで、何かしらで北海道に貢献したいって思ってる人も意外と多くて。そういう人たちがリアルでもネットでも、もっと北海道のことに関われるきっかけをつくりたいなと思ったんですよ。

あんちゃ:私もめっちゃ思ってた……!でも関わり方がわかんないんですよね。

五十嵐:そうそう。東京にいると北海道の現状が見えないし、関わる術もわからない。だから、そういう「応援したい人たち」ともつながれるものをつくりたいよねって。

中屋:たとえば今回のプロジェクトでは、これから何か挑戦したい人が壇上でプレゼンをする「ほっとけないAWARD」っていう企画と、そこで「この人応援したい!」と思ったときに特定の場所でビール・ソフトドリンクを飲むことで、その売上の半分を挑戦者に還元する「カンパイ☆ファンディング」っていう企画を打ち出したんです。

あんちゃ:なかなか斬新な企画ですね(笑)。

中屋:こういう企画もメディアで報告したり、北海道だけじゃなく東京でも開催してみたりすることで、遠方にいても北海道にゆかりのある人たちが何かしらの形で携われるようにしようと思ってつくりました。

あんちゃ:ビールを飲むほど挑戦する人への応援になるって、みんな幸せじゃないですかこれ……!

中屋:サッポロビールさんとやるなら「飲んで応援」ってめっちゃいいじゃん!って(笑)

土代:ビールの価値って、人のつながりができることや楽しい場を作ることでもあると思ってて。ビールを通して誰かの活動を後押しして、挑戦者と応援者をつなぐことができたらいいなと思っています。

中屋:イメージとしては、会社の先輩が飲みに連れてってくれて「オレも頑張るからお前も頑張れよ」と肩をポンっとたたきながら応援してもらうような、あの感覚と似ています(笑)。

あんちゃ:いや〜おもろいですね。地域の活性にこれだけユニークな企画を打ち出せるところ、なかなかないと思います。

土代:ぼくとしても真面目すぎないものにしたいというか、堅苦しくすると敷居が高くなってしまうから、おもしろさもちゃんと取り入れたいんですよね。

五十嵐:最初は「なんかおもしろそう!」を入り口にして関わってもらって、その輪がだんだん広がっていけばいいなと。

「どうなっちゃうの?」を、やっちゃうの!北海道にかける情熱

あんちゃ:みなさんの話を聞いているとすごく熱がこもってるというか、特に土代さんも中屋さんも北海道出身ではないのに、ぶっちゃけなんでそんな熱意注げるんですか?(失礼)

土代:会社と北海道の関係を抜きにすると、ぼくは北海道出身でもないので、当事者のように見えないかもしれません。ただ、いろいろと新しいことに挑戦し続けている自負もあって、挑戦という点においてはまさに当事者だと思っています。新しいことに挑むのってなかなか理解されず、不安や孤独を感じるし、進めるうえでの障害も多い。そんな挑戦者のために同志や応援者と出会える場をつくりたいという想いが、私のエネルギーになっているのではないかと思います。

中屋:同じく北海道には全然ゆかりはないのですが……。土代さんの熱意がすごかったのが理由かもしれません(笑)。最初は問題が山積みだったし、規模感もかなり大きいものだったので、なんとかいっしょに形にしたい!と思いました。

五十嵐:ぼくも今となっては起業してますが、最初からこうなるとは全く思ってなくて。日々たくさんの挑戦者に出会った中で「こういう生き方いいな」って思って、そこから自然とやってみようってなったんですよね。だけど大好きな地元にはそういう環境がまだまだ少ないから、これはぼくたちがつくっていくしかないなと。

中屋:そういえば五十嵐君に初めて会ったときは、なぜかちょんまげで下駄履いてて「なんだコイツ」って思ってたんですけど、北海道の話だけはめちゃくちゃ熱心だったんですよね。

あんちゃ:出会い方が斬新すぎる(笑)。

一同:(笑)。

中屋:でも五十嵐君の言う通り、挑戦のきっかけってすでに挑戦している人に出会って、その情熱に触れて、「自分もやってみようかな」って思うところから始まると思うんです。以前、東日本大震災の被災地支援に携わっていたことがあるんですが、現地の若い漁師さんたちが復興活動に情熱を持って取り組んでいる姿を見て、やっぱりぼくも感化されましたね。

あんちゃ:うんうん。誰かの熱意に触れると、自分の中の熱も高まりますよね。

自らが挑戦者となって体現する「ほっとけないどう」プロジェクト

あんちゃ:では最後に、プロジェクトにかける想いを1人ずつぶちまけてもらえればと!

五十嵐:このプロジェクトでは「DO!民」という会員制のコミュニティもつくっていこうと思ってるんですが、たとえ北海道から離れている人でも、オンライン・オフラインともに心の拠り所になれる場所をつくっていきたいですね!

土代:北海道の「関係人口(※)」を増やしていきたいですね。行政の人でも、「実はこういうのやりたかった」って声掛けてくれる人が意外と多くて。そういう思いを持った人とどんどんつながりたいです。(※)多様な形で地域と関わる人たち

中屋:ぼくは「前例がないからやらない」という風潮を変えたい。

土代:わからないからこそやってみようぜ、って伝えていきたいですよね。正直、今回はぼくも色んな意味で結構ギリギリのラインを攻めていると思っていますが(笑)、そういう部分にこそ一石を投じる価値があると思ってます。

中屋:仕組みの部分はぼくがしっかりサポートしますんで大丈夫ですよ!(笑)

五十嵐:このプロジェクトを通して「北海道おもろそうじゃん」っていう空気をつくっていけたらいいですよね。そこから「俺もチャレンジしてみようかな」って人がでてきたら嬉しいな。

土代:良い意味で「敷居の低い場所」にしたいですね。

中屋:ぼくたちも挑戦しては何度も遭難しかけてるし、めちゃくちゃまわりに支えられてるもんね。五十嵐君なんて大事なミーティングのときに寝坊したりするし。

一同:(笑)。

五十嵐:成功者の話だけじゃなくて、挫折やしくじりの部分もさらけ出してチャレンジの一歩を伝えていきたいですね(笑)。

中屋:一見おもしろおかしくやっているけど、裏では意外と真面目にやってるんで、お互いをサポートしながらこのプロジェクトも広げていきたいと思います。

あんちゃ:御三方が自ら挑戦者となって体現していくプロジェクトというわけですね。めちゃくちゃ胸熱です……!

どんなに企画が目新しくても、面白そうでも、それをやる人の熱意がなければ人は動かない。

その点では「ほっとけないどう」は3名それぞれの想いと情熱がたっぷりこもったものであることは間違いないし、その熱はどんどんまわりへ波及していくはず。

令和の時代に突入した今、これからの北海道は以前と見違えるほど、挑戦する人と応援する人が手を取り合い、次々と新しい動きが起こるかもしれない。

今回の「ほっとけないどう 」プロジェクトは、そんな可能性をひしひしと感じさせてくれるものになっていくだろう。


(ライター あんちゃ)
(カメラマン 川島 彩水)