農家の未来は明るい!?第4回「ほっとけないSHOW~ほっとけない福島編~」

2019年09月10日(火)19時より、ほっとけないBAR(大人座)にて、第4回「ほっとけないSHOW~ほっとけない福島編~」が開催されました。

福島のフリースタイル農家vs北海道の農業プロデューサーによる、農業トーク!

これからの北海道をワクワクさせる人、そしてその挑戦を生み出し応援する「ほっとけないどう」プロジェクト!毎月開催の「ほっとけないSHOW」では、46都府県からその地域を盛り上げる活動を展開する人をゲストに迎え、トークイベントを開催しています。第4回は、福島のフリースタイル農家・加藤 絵美さんと、対談ゲストとして道内から農業プロデューサーとして活躍する脇坂真吏さんをお呼びしました。農家の今と未来は、一体どうなるのか?アツいトークがスタートします!

登壇者・加藤 絵美 さん(福島県・フリースタイル農家)「笑顔になれるお米を福島で」

加藤さんは、2009年に夫の祖父の農家を継ぐために、夫婦で会社員から米農家になりました。加藤さんの半生は、幼い頃の家庭環境があまり良くなく、辛い時期も長かったそうです。そんな中で、現在の旦那さんと出会い、結婚。農家としての人生がスタートしました。少しずつ暮らしが整いはじめ、幸せを実感しはじめてきたタイミングで、東日本大震災が起こり、滋賀へ家族で避難します。福島で農業ができるのだろうかと不安も募りましたが、たくさんの人たちと出会い、優しさに触れるなかで、福島に戻り農家をやることを決意したといいます。

「絵美ちゃんは、黄色いつなぎ着なよ!」黄色いツナギから繋がった縁

加藤夫妻の農地は、約45ヘクタールで、大通り公園6個分相当の面積です。お米を作り、おもちや糀ドリンクなどの商品もつくっています。あるとき、東北の食をテーマに開催された東の食の実行会議に参加した際に、福島で「赤い彗星(赤いつなぎがトレードマーク)」と呼ばれる有名な農家さんに、「絵美ちゃんは、黄色いつなぎ着なよ!」と言われ、黄色いツナギを着ることになりました。すぐに黄色いツナギを用意して、トレードマークとして着はじめたそうです。それがきっかけとなり、県のPRの仕事や様々な繋がりが生まれていきました。

加藤絵美さんにとっての「農家の気持ち」

加藤さんは、農家をやりながら稼げるかどうかという視点より、自分の心が解放されるかどうかを大切にしながら、なるべくストレスのない働き方を選んできたそうです。しかし、震災後は色々考えることも多く、株式会社にする道を選びました。会社が3〜4期目を迎え、農家は経営者なんだという自覚が出てきたといいます。農家になってから、岡山のEVERY DENIM(次月10月のSHOWゲスト)とのコラボでクラウドファンディングをしてファーマーズデニムを作ったり、2〜3年前からは、海外へ行くようにもなりました。ベトナムにおむすびを売りに行ったりと、いろんなことにチャレンジする機会に恵まれました。数々の挑戦を楽しみながらやってる姿勢がお話から伝わってきます。

フリースタイル農家とは?自由自在に農家を楽しむ暮らし方

農家の基本的な仕事を大切にしながら、自由自在に活動の場を広げる加藤さんご夫妻。仲間と一緒に、東北の津波の被害があった地域で何かできないか?とビール作りのプロジェクトもスタートしました。これからは、農に関わる人を増やしていきたいという想いと共に、食に関わる人が増えたらいいなとお話されていました。たとえば地元のレストランや飲み屋さんなどに行ったときに、生産者の話まで温かく話せるような環境が出来ていったら、素敵な循環が生まれるのではないだろうか、と。普段何気なく食ベるものがどんなふうに作られ、届けられているのかという背景のストーリーを知ることで、食への正しい関心が高まっていきそうですね。

登壇者・脇坂 真吏さん(札幌 | 東神楽町・農業プロデューサー)株式会社Agri Innovation Design 代表取締役「農家を憧れの職業No.1に」

農業プロデューサーの脇坂 真吏さんは、札幌生まれ。父が東神楽で、母が室蘭出身、農家と漁師のサラブレッドです。東京農業大学在学中に八百屋を立ち上げ、会社起業後は、農産物の流通に近いところで仕事をしてきました。「小学生のなりたい職業1位を農家にしたい」「頑張っている農家さんを応援できる環境を作りたい」という強い想いで活動されています。皆さんには「農家が儲からない」というイメージがあるでしょうか?農家には、高齢少子化というニュースが多く、実際には豊かな暮らしをしている人も多いのに、プロ野球選手やYoutuberのようなスターがいないと感じているそうです。

「農家」は、起業。経営者としての自覚を持つ農家を増やしたい

農家に憧れる人を増やすには「本当に稼いでいる、健全な農家経営者」をたくさんつくることが大切だと脇坂さんは強調します。なぜ農家は、後継者不足になるのか?農家に限らず、親から仕事の愚痴を聞くから子どもがその仕事を嫌いになるのではないか、と脇坂さん。農家を継いでる子ども達は、親の仕事の愚痴を聞いたことがないと答えるのだそうです。データを見ると稼げてない農家が大半で、農業年商が200万円以下の農家が約半数。しかし、その70%くらいが70〜80代の高齢者というのが実情で、土地を手放すことなくマイペースに農家を続けている高齢者が多い、という背景があるようです。一方で、家族経営で年商が億になる農家もいるのだとか。

起業の統計では、10年後に残る会社は、わずか7%

「実家が農家じゃなくても、今から農家になれるのか」という質問が会場から寄せられました。今から、農家になって、億を稼ぐことも可能なのでしょうか?実は、土地を借りたり、行政のサポートもあるので、農家に参画するチャンスはあるそうです。農家に限らず、起業の統計では、10年後に残る会社は、7%といわれています。農家だから新規参入は厳しいという話ではなく、事業の難易度は、等しく同じ。もちろん厳しいこともありますが、きちんとした経営目線を持った農家を増やすための取り組みを考えていきたいとお話されていました。

マルシェで広がる「農」の豊かな可能性

このイベント内では語りつくせないほどたくさんの活躍をしている脇坂さんですが、近日「マルシェのつくり方、使い方」という本を出版します。森ビルのヒルズマルシェほか東京で4会場、年間130日以上のマルシェを行い、約2億円にもなるのマーケットを東京で構築してきました。また、サッポロファクトリーでは日本初となる通年開催型マルシェ会場「SouseiMarche」を、イオンモール旭川駅では地元直売所兼セレクトショップを展開していいます(北海道は2019年9月現在、2箇所)。マルシェを単にイベントとして捉えるだけではなく農家を始めとした関係者の事業成長の場として捉えたらおもしろいのではないかと指摘します。

食の楽しみから広がるもの「美味しいものを食べて笑顔にならない家庭はない」

脇坂さんが、マルシェで出会ったというエピソードが印象に残りました。マルシェには、探す楽しみ、料理をつくる楽しみ、食べる楽しみと3つの楽しみがあります。その楽しみからはじまって例えば、ある夫婦にとっては、毎週末のマルシェの時間が夫婦円満の秘訣になっていたり、野菜嫌いの子どもがマルシェで野菜の美味しさを知ってしまい「マルシェの野菜じゃなくちゃ子どもが食べなくなってしまった」という微笑ましいクレームが来たり…と食と農業の先には「おいしい」と「楽しい」が詰まっています。食べる楽しみを広げていくことは、食の廃棄や家庭関係をはじめ、様々な社会問題にアプローチすることにも繋がっていくのでしょう。

夜が更けても、冷めない会場の熱気

お2人のお話のあとは、会場からの質問タイムが設けられ、農業やお二人に関する様々な質問が飛び交いました。その後のフリータイムでも、会場では熱が冷めずに盛り上がり続けておりました。「ほっとけないSHOW」で繋がるのは、登壇者と参加者だけではありません。似たようなことに興味のアンテナを持つ、参加者同士の交流の場でもあります。「どうなっちゃうの?を、やっちゃうの!」をすでにやっている人たち、これから企んでいる人たち、それを応援したい人たちが一つになって、日本中が行動する人でいっぱいになったら素敵ですね。全国に仲間がいる「DO!民=やる民」のオンラインサロンにもぜひご参加をお忘れなく!
DO!民登録は、こちらから▶︎https://line.me/R/ti/p/%40180qwvls

次回の「ほっとけいないSHOW」は、10月4日(金)!岡山からエブリデニムの山脇 耀平さんがやってきます!

次回の「ほっとけいないSHOW」は、岡山県から「EVERY DENIM(エブリデニム)」を兄弟で立ち上げた山脇 耀平さんをお招きします。2015年、瀬戸内エリアに集積する工場で作られるジーンズの作り手と売り手の距離を縮めることをテーマに、“消費されないデニムを届ける”という理念で誕生したジーンズブランドです。経済誌「Forbes」による「アジアを代表する30歳未満の若者30人」への選出や、「ガイアの夜明け(テレビ東京)」での特集など、多数のマスメディアに取り上げられ注目を集めている「EVERY DENIM」について、山脇さんに今までとこれからの挑戦について語って頂きます。10月4日(金)19:00〜は、ぜひ大人座へ!

詳細・ご参加はこちらから▼
https://hottokenaishow5.peatix.com/

ライター:Natsumi Miki
カメラマン:ヤリミズユウスケ