地域と都市を結ぶ仕事。第6回ほっとけないSHOW@札幌・大人座

北海道と全国のほっとけない人たちを繋ぐ、ほっとけないSHOW は、毎月開催中!今回は、三重県の夢古道おわせ支配人・伊東将 志さんと、札幌の隣町・喜茂別のCOFFEE & SHARESPACE [tigris]オーナーの加藤朝彦さんが登場します。地域で仕事をつ くるということは、一体どんなものなのか?拠点をベースに、様々 な企画を生み出し、地域の問題にアプローチをしていくというプ ロセスは、学びが非常に多いお話ばかりでした。

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三重県・夢古道おわせ支配人の伊東将志さん

三重県・伊東将志さん
株式会社熊野古道おわせ夢古道おわせ支配人
株式会社温泉道場社外監査役
NPO法人G-net 社外理事
内閣府活性化伝道師

夢古道おわせ▼

http://yumekodo.jp/


三重県尾鷲市出身。地元高校から尾鷲商工会議所へ就職。 まちづくり会社の設立に携わり、夢古道おわせ/夢古道の湯の立上げ運営を行う。その後現職。 地域版、大学生の長期インターン事業や地域おこし協力隊の中間支援、都市部のワカモノと地域を結ぶ事業などを展開。「生まれ育った町を元気にする」が暮らしと仕事のテーマ。

田舎と呼ばれるおわせから、出ないと決めた人生

伊東:みなさん、こんばんは。DO!民の伊東です(笑)僕は、こういうまちのことをやっている人のなかでは、珍しいパターンなんですけども、生まれ育った場所から、一歩も外に出ておりません。45年間、三重県おわせ市から一歩も出てないんですよね。だいたいは、都会に行って「田舎はいいな、故郷はいいな」と思うんですけど、僕は高校二年生の時にすでに気づいていた…出て行かないってことの方が、かっこいいんじゃないか、と(笑いに包まれる会場)三重県のおわせ市は、超田舎で18,000人しか住んでいないまちです。一番近い大学が、三重大学というところで、高速を使って2時間かかるので、ほとんどの人は地元を出ます。就職するなら、名古屋・大阪へ行ってしまう。大学進学するにしても、おわせを出て行かなくてはいけません。だから、高校卒業して残る人の割合は、3%くらいなんです。地元に残るって、これは、なかなかレアケースじゃないですか。そこで、どっちの方が面白いかを考えた時に、残る方が面白いな、レアキャラになっちゃおう…ということを17歳の時に決めました。みんな都会で一旗あげてやるぞ、みたいなことを考えて出ていくのですが、僕は、東京じゃ勝てる気がしなかった。最初から逃げてるんです。でも、逆に環境に身を置くことでなにか状況を変えていくことはできるんじゃないだろうかと思ったりして、今に至ります。

商工会議所で働きながら、くすぶり続けた12年間

伊東:僕は、もともと商工会議所で18~40歳まで在籍してました。中小企業の会社の方だったり、スタートアップの方のお手伝いをしてました。なかでも一番得意だったのが、確定申告書を書くことで、一番多いときで年間250枚くらいの下書きを書いてあげてました(笑)大好きなまちの力になれる仕事をしたいと思い、融資のサポートなど、 まちの人たちの想いをサポートする仕事をしていたものの、「本当にこれでまちのためになってるのだろうか?」と、くすぶっている時間が12年続きます。自分のまちが、「ふふふ…田舎ね~」とバカにされることが、僕はいやだったんです。それで今、なにをやってるかというと…道の駅みたいな施設の運営をやってます。施設の中には、お土産物屋さんと、地元のお母さんたちが毎日お料理を作ってくれるランチバイキングと、お風呂があります。大好きなおわせの町のことをとにかく情報発信する施設です。

31歳、夢古道おわせが始まる

伊東:熊野古道が世界遺産になった時に、なにかおもてなしの施設をつくらなくてはいけないということで、行政さんが施設を建てました。だけど、みなさんのまちにもあるかもしれません。なにやっても潰れちゃう場所って、ないですか?そういう場所だったんですよ。「誰もが失敗する場所で始める」というミッションが降ってきて、それを商工会議所が受けたんですね。商工会議所は、直接商売できないので、まちづくりの会社をつくりました。 はじめて事業計画を書いて、一口5万円から募集をかけて、頭を下げながら歩いて周り、2865万円のお金を集めて、スタートしたのですが、出資者が全員社長さんで事業をやっているので、誰も運営をやる人がいなかったんですね。そこで、商工会議所に若いのがいたなってことになり、施設運営の支配人になりました。 31歳くらいにスタートして、今年で、14年めです。

無理だと言われた場所で、期待を裏切る

伊東:商工会議所で勤めてきたものの、実際事業をするのは始めてだったので、勉強をしたり、あたまをぶつけるような想いをしながら、なんとか14年間事業を保たせてきました。18,000人しかいないまちで、1日3時間しか営業していないランチバイキングは、年間3万人が訪れています。お風呂は、年間で1万人も来ればいいだろうと町の偉い人たちに最初言われていたのですが、今、8万人の方が利用してくれています。全体的な施設への入館客数も年間20万人集まっていて、大きく周囲の期待を裏切りました。誰もがダメだと思っていた場所だったから。そんななかで、僕は、すぐ天狗になってしまうんですけど(笑)、ある日、スナックで先輩に会いました。先輩は、酔っ払っていて「おい、こっち来い。TV見たぞ、流行ってるらしいな。こいこい~」って言われて、僕は隣に座りました。そのあとに先輩に言われた一言が僕の仕事を変えたんですけど、「で、それでおわせは、どうなったんだ?」と言われました。気にしてなかったんです。絶対ダメだって言われているところで、 商売を成り立たせることが、僕のミッションだと思っていたんです。ここまでくるまで、ものすごい苦労がありました。今日は、30分しかないので、話せないんですけど、ハンカチなしじゃ話せないくらい、たくさんの苦労のなかでやってきました。だけど、人口は減り続けてるんですね。たった一つのお店が利益を上げたところで、人口減少という問題解決ができるわけじゃない。だけど、僕は、まちを元気にしたいとずっと言っていました。今では、全然使われなくなりましたけど「活性化」 という言葉も使っていた。だけど、それができてるかというと、わからないし、これは違うなと思いました。

まちの課題に対する「意味」とは、何か?

伊東:商売として成り立たせながら、やり方を変えなくてはならないと思いま した。ランチバイキングになんの意味があるのか?お土産物を売ることに、お風呂に、なんの意味があるのだろうか?ということを考え始めました。すると、 まちに課題がたくさんあることに気づいたんです。例えば、日本の平均の高齢化率は、年々上昇傾向にあり、2019年は28.4%です。しかし、おわせは、40% を超えていて、集落にいくと、65歳以上の人口が、65%くらいになります。 これは相当高いんです。しかし、お先真っ暗かというと、そうでもないなと思い始めていて、平均寿命が100歳になるという時代に、65歳で年寄りだと言っていたらダメなんですね。今、老人ホームに青年部とかありますから。なんだかよくわからなくなってきますけど(笑)そういう時代なんです。だとするならば、そういう人たちこそ、資源だろうと。そんなわけで、ランチバイキングは、「昔から食べていた、あの料理を作ってください」と地元のお母さんたち… 全員素人の人たちに作ってもらってます。おわせのような田舎でも核家族化していて、昔食べてたような大皿料理は食べなくなってるんですね。そういったものを出してもらおうと、地元のお母さんたちに三つのグループを作ってもらい、 週替わりでやってもらってます。台風も来たりするんで、年間360日くらい稼働をしてる商売をずっと続けてきています。お母さんたちが第二の人生を楽しんでもらうために。なかには、75歳の女性もいます。口紅を塗り、美容院に行き、きちんと可愛くして彼女たちは働いてくれます。また防災の観点でも、 考え直しました。3.11以降、各集落には、防災の備蓄倉庫があります。毎日100人とか200人の料理を彼女たちは5~6人で提供できています。そういう料理スキルを持っている女性がたくさんいるということは、有事の際に、まちとしてはすごくエネルギーだな、と。そしてですね、このチームは卒業システムになっています。AKBみたいに(笑)

「100のありがとう風呂」と間伐材

伊東:一方、お風呂。山が荒れてる、林業が大変だという話を聞きました。間伐材だけを使って、「100のありがとう風呂」というイベン トをやったりしました。間伐材を輪切りにして、メッセージを書いて、 敬老の日にお風呂に浮かべたりしました。「おじいちゃん、長生きしてね」「船に乗ってるおじいちゃんが一番好きやで」だとか書いてあっ て、これをおじいちゃんが見て、泣いたりしてるんです。今、水害とか大変ですよね。森が荒れてるから、大雨が降った時に、支えられなくなっている。水を吸い取れなくなっているんです。木が倒れて、川に流れて、橋を食い止めて、大水害になる、ということが起きている。 土砂崩れが増えてますよね、と山の人に聞くと、「間伐やってないからな。」というわけですよ。要は、森を守るためには、切らなきゃいけないんです。細い木を切らなきゃいけないのに、切らない。なぜか? 売れないから。だったら、僕は買います。「一番お金にならない伐採齢はいつですか?」と聞いたら、10~25年のところが一番売れないんだということでした。だったら、そこだけを使って、できるだけ買います、と。今、全国500店舗以上のお風呂に導入実績があります。 北海道は、かなりたくさん買っていただいてまして、一番遠いところだと稚内の方まで。遠く離れた北海道でも、おわせの森に貢献してくれている。これが、年間5万枚売れるようになりました。

敵をつくらず、アイデアをつくる

伊東:「100のありがとう風呂」なので、最低100枚からの購入をお願いしてるのですが、彼らは、おわせのために買ってくれてるわけではもちろんなくて、これをやるとメディア露出が良かったり、新聞に取り上げたくなる写真が撮れたりと、同じことができるわけです。地元の子ども達に、おじいちゃんおばあちゃんへのメッセージを書いてもらうから、 おじいちゃんおばあちゃんたちが、見にくる。子ども一人が書くことによって、4人のお客さんを連れてくるわけです。これはビジネスとしても良いじゃないですか。というのを日本中で展開させていただいて、今、 続けて来てるんですけど、なぜこういうことをやって来たかというと、 誰もチャレンジしたことのない領域でチャレンジをするということが僕のテーマなんです。なぜ、そんなことをやってるかというと、できるだけ、敵を作りたくない。地元でやっていると、例えば、集客するために、 向こうは500円でやってるから、こっちは480円でやろうとすると、それで勝ったとしてもダメというか「お前らはな…」ということが起こります。だから、何かを潰して、何かを作るというのは、僕らの仕事じゃ ないなという風に思ったから、だったら、誰も手をつけず、誰も買わな いというものをやれば、誰も邪魔しないんです。「お前、こんな木買ってどうすんだ」と未だに言われます。「そうなんですよ~。でも、これじゃないとダメなんですよ」っていうと、「へー変わってるね、もっといい木あんぞ~」なんて言われるんですけど、でも、わかってもらわなくてもいい。こういうことを僕の仕事の中心に据えてます。

「伊東さん、何のために働くんですか?」

伊東:普段、どういうことをやってるかというと、とにかく困ってる人に会うということをやっています。課題とか失敗とか、そういった話を聞くこと。森の話も、そうでした。同じように、他の集落の話を聞きにいったら、何か分かることがあるかもしれないと思い、漁村集落とか、他の集落の話を聞きに行っています。 こういうことをやってると、お手伝いをしてくれる人もたくさんいます。 それは、地元だけじゃなくて、遠く離れた東京だったりとかも応援していただけるカタチができるんですね。大学生のインターンだったり、社会人 の研修生だったりという形で、どんどん人が入ってくるようになったんです。例えば、100のありがとう風呂のプログラムなんかは、日本中から学生が来ました。これに携わった学生だけで50人はいると思います。うちは、超田舎なので、大学行きながらインターンすることはできません。最低2ヶ月以上の住み込み型のインターンになります。一番長い人で半年い ましたけれど、このプログラムをやりたいってだけで、人が来るんですね。 彼らは言います。伊東さん、何のために働くんですか?仕事のことを教えてくれ、と。お金はいらない。だけど、社会って何ですか?何のために仕事してるんですか?ということに答えてくれ、と。僕は、大好きなおわせという町の誇りを取り戻すためにやってる。それが、僕の仕事のモチベー ションだという話をします。でも、最初言われた時に、どきっとします。 「なんでやってるんですか?」って。でも、社会に出る前に彼らは迷ってます。その答えを大人は用意しておかなくてはならない。社会人もたくさん来ます。地域おこし協力隊の人たちももしかしたら、そうなのかもしれないです。

先進諸外国の中でも、高齢化率が高い日本

伊東:先進諸外国の中でも、高齢化率が一番高いのが、実は日本です…そのなかでも、おわせは、高齢化が進んでいます。うちの町でもなにかしなくてはいけない、だけど、なにからしていいかわからないという状況に対し、自分たちのやっていることがモデルケースになることができるかもしれない。それは、失敗しても成功しても、事例になります。私たちがやっている事業は、すべてマニュアルが全部できています。「100のありがとう風呂」も、 企画書は、無料で配布しています。ランチバイキングにしても、 うちのまちではこういうことをしましたよ、と事例として紹介することができる。新聞社に取り上げてもらう方法も、全部、シェアしてます。シェアすることで、僕より上手くやれる可能性があるんじゃないか、それならそれがいいんじゃないか、と思う。

観光以上、移住以下のまち暮らし体験が大人気

伊東:と、ここまででスライドを終わろうかと思ってたんですが、昨今、 時代が変わって来たように思っていて、もっと軽く何かをしたいと思う人が増えているのかな、と。そこで、GWの10連休の時なんかに、手伝いにきてもらえるような「旅と番台とはしご酒」というイベントを考えて募集したら、一瞬で埋まりました。連休中は、忙しいし、うちも人手不足になるので、時給制でアルバイトをしてもらって、そのバイト代を毎日茶封筒 に入れて渡します。一日数時間なので、4000円くらいにしかならないのですが、そのお金を持って、みんなでおわせのまちに飲みに出歩いて、はしご酒をするんです。しかも、このお金は、1時間半後くらいにまちに吸収されるという、めちゃくちゃ良い企画です(笑)これ、めちゃくちゃ喜ばれてまして、お盆の9連休も募集したら、30分で希望者枠が埋まったん です。今日、いろいろお話しましたが、尖っていくのもいい、だけど助けてほしいっていうことも大事なのかな、と。成功事例を聞いたって、面白くないじゃないですか。自分が正義だと思ってやってることも、他の人にとっては、実はそうじゃないってことも、やっぱり田舎でやってるとあるよなぁって思います。人は、成功してる人を応援しません。戦っている人を応援します。こうやって、地方に来て、話をさせてもらっていますが、みんなそれぞれに同じような悩みを抱えていたり、戦っていたりするかもしれない。今、戦っているのは、あなただけじゃないかもしれない。だから、 繋がっていったり、仲間になれたらいいなぁということを最後にお伝えして、僕からは、終わりにします。ありがとうございました。

道内より喜茂別・COFFEE & SHARESPACE[tigris]オーナーの加藤朝彦さん

道内ゲスト:加藤朝彦さん COFFEE & SHARESPACE[tigris]オーナー。 北海道札幌市出身 東京のデザイン事務所に勤務したのち、統計分析を基にしたウェブアプリを開発するスタートアップに入社。クリエイティブディレクターとしてコーポレートブランディングを担当しながら、プロダクトのUIUX設計、開発マネジメントや広報・マーケティング 戦略立案など横断的に携わる。現在は喜茂別町に移住し、リモートでデザインの仕事をしながら「地域と人の想いをつなぐ」という想いのもとに地方創生プロジェクトに関わっている。元・喜茂 別町地域おこし協力隊。
COFFEE & SHARESPACE [tigris]▼

http://tgrs.jp/

体験をつくるデザイナーの地域おこし協力隊

加藤:初めまして、加藤朝彦(カトウトモヒコ)です。まずは簡単に自己紹介させていただきます。札幌の清田区出身、高校まで札幌にいたんですけど、大学進学を機に東京へ上京し、そのまま就職して、デザイン事務所に入りました。その後、統計分析を活用したマーケティングツールを開発するITベンチャーに転職して、2017年8月に喜茂別に移住。地域おこし協力隊を1年8ヶ月続け、今年の3月に退任。5月からコーヒー&シェアスペース チグリスというお店を運営しています。本職はですね、UXデザイン… 「ユーザー体験を作る」ということをやっています。世の中にある課題を整理して、その解決策を提供する仕組みを作り体験をデザインします。ぼくの大切にしている想いや実現したいこととして、「地域と人の想いを繋ぐ」ということをやっておりまして、 そのために地域を面白くする人を増やして、循環させて、伝えたい。いろんな活動する中で大切にしてるのは、想いに寄り添うっ てことと、人に還元するということです。喜茂別は、札幌の南区に隣接していて、中山峠のあるまちです。人口は、だいたい2000人くらいで、アスパラ栽培を広めたまちとして売り出しをしています。周りに観光地があるため、年間で250万人が通過します。

喜茂別を移住先に選んだ、三つの理由

加藤:そんな喜茂別に移住先に選んだ理由としましては、ひとつは地方創生に興味が出てきたこと。大学進学で上京するときに友達と「私は北海道にみんなが帰ってきやすい受け皿を作る」「ぼくは、東京での経験だったりスキルを北海道に還元する」と。それを実現させたかったという気持ちがありました。シンプルに札幌に帰っても良かったんですが、札幌のように完成されたまちに行くんだったら、成長の余白がある場所でチャレンジしたいなと思いました。ふたつめは、自然豊かな場所で子育てしたかった。今、3歳になる息子がいるんですけど、東京で待機児童の状況や遊ばせる場所もあまりなくて、子育てを東京でするのしんどいなぁと。たまたま妻と旅行で喜茂別を訪れていた時に、双子羊蹄山の風景がすごく気に入って、これを毎日見られるところに引っ越したいなぁ、と。最後に、北海道の主要スポットもある程度調べたんですが、喜茂別は、札幌と千歳空港までだいたい車で90分。ニセコ、ルスツ、洞但までも30分程度なんですけども…フリーランスというカタチでデザインさせていただいていて、妻もフリーランスでライターやっていて、二人とも札幌や東京にクライアントがいるので、出張の時にアクセスがしやすいっていうのは絶対条件で。そんななかで周りのニセコ、ルスツ、洞但と観光地があるので、そこに行く人たちの足を止めることができれば、喜茂別は大きなビジネスチャンスがあるんじゃないかな、と思って、喜茂別になりました。その三つが主な理由です。

解決しなくてはならない課題を客観的に解決するプレーヤーが、地域には必要

加藤:前提として、田舎はライバルが少なく、ブルーオーシャンの状態なんですけども、解決しなくてはならない課題がたくさんあります。これを客観的に解決できるプレーヤーというのが、すごく少ないなと思います。課題を整理して、解決策を提示する、 実行できる人材というのが貴重になってきます。なので、ぼくは、 自分がやりたいという自分の想いと地域の課題を結びつけて、行動を決めていきます。具体的にどういうことをやっているかというと、コーヒー&シェアスペース チグリスというカフェをやっています。これも背景がありまして、喜茂別は10年近く町の中心地に喫茶店がなかったので、ランチと夜の間にちょっと休める場所や気軽に人と会える場所がないという話を聞いていて、それを解決したかったんです。あとは、先ほどお話した観光地へ行くお客さんの足を止めるスポットがないので、足を止めるスポットができれば、もっと喜茂別というところに人が立ち寄りやすくなるんじゃないかとおもったのと、あとはそういうところで町内外の人を繋ぐパイプ役というのがないので、そういうところを解決するため に、人・物・情報が集まって新しい何かが生まれる場所をという コンセプトで、コーヒー&シェアスペース チグリスを運営しています。

地域おこし協力隊のサポートプロジェクト

加藤:地域おこし協力隊のサポートプロジェクトをしてまして、僕が協力隊を卒業した後に、4月から2人の協力隊が着任したんですけど、その2人の起業や定住に向けてのサポートをしています。 これは、もともと実体験としてなんですけども、移住希望者と自 治体にとって、地域おこし協力隊は、すごい良い制度なはずなんですが、結構いろんなところでミスマッチが起きていて、任期終了後にいなくなる方というのが半数以上なんですね。それってどうしてなのかなぁって考えた時に、協力隊自身がスキルや経験が不足していたり、ただの就職口としてなんとなく応募してしまうケースもある。自治体側も役場職員のような扱いをしてしまって、起業だったり、卒業後のサポートまでしてあげられていないというところで、そういうサポート体制ができてないっていうことが、 いろんな協力隊員と話をするなかで見えてきて、じゃあそれだったら、地域おこし協力隊のサポートプロジェクトっていうのを立ち上げましょうとなり、今、やっております。協力隊員の想いを大切にしながら、その人たちが今まで持っていた経験だったりとかスキルっていうのを生かして暮らしていける環境をつくっていきたいなぁとサポートをしています。

フードロスを考える、KIMOBETSU Foodies

加藤:あとはKIMOBETSU Foodiesという団体を作りました。今、 乾燥野菜を作ってるんですけど、これは、フードロスを考えましょうという事業です。日本では、年間650万トンの食料廃棄、フードロスが出ています。これにはいろんな要因があるんですけど、一つは、農協やお店に卸せない規格外の作物を売る場所がなかったり、それをどう生かしていいのかというアイデアがないので、それを放置するしかない。あとは、人材がいないので、たくさん植えてもそれを収穫しきれないという問題があるんです。なので、適量を育てて、適期に収穫して、適切に加工流通させることができれば、もっとフードロスがなくなるんじゃないかなということで、地元の農家さんと一緒に立ち上げています。どういうことをやってるかというと、地元野菜を使った加工品…地元の切り干し大根だったりとか、 地元の飲食店の人たちに食材を使ってもらって新メニューを開発してもらったりだとか、あとは規格外の普通に流通することのできない野菜を販売できないかなっていうのを試行錯誤しております。それらが整っていけば農業に関わる人がどんどん増えてくると思うので、人材育成や、生産・製造・販売の管理システムを作って運用していけば、農家さんが自分の本来やるべき野菜を作るということに 集中できる環境ができると思うので、そういうことのサポートというのを今後やっていきたいなぁと思っています。

リモートワークだからこそ、できる働き方を

加藤:こういうプロジェクトを次々と立ち上げているなかで、僕がやっているのは課題解決型ビジネスモデルと言っています。コミュニティスペースであるチグリスに集まってくる人たちから、こんなことに困っているという困り事を聞いて、じゃあ一緒にプロジェクトに立ち上げて、解決していきましょうということから、KIMOBETSU Foodiesや地域おこし協力隊のサポートプロジェクトが生まれました。メディアなどを通じて情報発信をどんどんしていき、興味を持っ てくれた人が喜茂別やチグリスに集ってきて、またそこで新しい課題を解決していくというエコシステムを作ることができれば、もっと喜茂別やチグリスを起点に面白いことが生まれるんじゃないかなってことを考え活動しています。今日のタイトルは、都市と地方を結ぶ仕事です。僕は、もうひとつ、デザインの仕事をしています。グラフィックのデザインやウェブサイト制作や、UXデザイン…これが 本職なんですけど、利用者が違和感なくサービスを使い続けることができるサービス設計を僕は専門としてやっています。この図のように設計図のような流れを細かく書いて、こういうステップを踏んでいったら、どんな感情になって、最後みんなハッピーになってくるかみたいなことを考えていくということです。東京のクライアントが多いんですが、地域格差を埋めてくれそうというのを基準に仕事を選んでいます。

都市と地方を結び、地域の機会格差を埋めていきたい

加藤:薬局向けの医療系のスタートアップ、海外や地方に開発拠点を持っていろんなサービスの開発をするベンチャー企業、あとは生命保険のマッチングサービスというのを仲間たちと立ち上げています。地方にいると専門家と会える機会が少ないという問題があるのですが、地方だからこそITというものをもっと享受できるのではないかということを考えています。地域格差を減らせば、 地方で暮らすということが気軽になる。デザインの仕事をリモートで続けているのは、そういう働き方ができるというのを証明したいという気持ちもありますし、都市と地方を結ぶ仕事を続けている意義は、人の想いを汲みながら、地域格差を埋めていくというのが、最終的なゴールなのかなと思って、活動しています。僕の紹介は、以上です。

全員で、飲み会のように輪になって質問タイム!

「登壇者と参加者というこの向かい合う位置関係が嫌なんだよね」 という伊東さんの呼びかけで、席を丸く配置換えして飲み会のような雰囲気の質問タイムになりました。地域で働く、活動していくことのリアルでディープな話が展開されていました。これからやりたい人にとっても、今関わってる人にとっても、刺激的な時間だったのではないでしょうか。イベントは、勉強しにくるというよりも、お互いが繋がり、友達になっていくような場にしたい。 なにか困ったことがあった時に、助け合える関係性を、全国に持てたらいいよね、というお話も出ておりました。

「ほっとけないどう」を上手に活用してもらいたい

「なにかやりたい、繋がりをつくりたい」と思っている方は、飲み会感覚で全国に繋がりが生まれるほっとけないSHOWと、オンラインコミュニティのDO!民を上手に活用してみてくださいね。 ほっとけないどうは、そういう人達を応援したいと思っています。 次回のほっとけないSHOWは、12月5日(木)19:00~ 大人座です!ぜひお気軽にご参加ください!
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(ライター Natsumi Miki)
(写真 ヤリミズユウスケ)