こんなに美味しかったんだ! 北海道産の日本酒を堪能した、第9回「ほっとけないどう東京会」レポート

サッポロビールが主催するプロジェクト「ほっとけないどう」は、北海道で何かに挑戦したい人と、応援したい人をつなげるプロジェクト。今回の東京会のテーマは北海道×日本酒!道内・道外6種類の日本酒の試飲も行われ、大盛況に終わった9回目の「ほっとけないどう東京会」をレポートします。

そろそろ根付いてきましたか? 乾杯の挨拶は「どうなっちゃうのを?」「やっちゃうの!」

第9回目になった「ほっとけないどう東京会」。会場はいつもと変わらず麻布十番のBIRTH LABで開催です。普段は北海道にゆかりのあるビールやワインを用意してファンディングを行なっていますが、今回は7酒の日本酒も追加。いずれも北海道産酒米を使用したおいしーいお酒です。

今回の挑戦者は3名で、いずれも北海道の各地域を盛り上げるために活動している方々。

・空き店舗などの遊休施設を、宿泊+交流スペースに変えるプロジェクトを推進している林匡宏さん。
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・子供が生まれたお母さん達が思いっきり楽しめる場所を作りたい、と話す明石奈々さん。
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・津別町にUターン後、町の盛り上げのために地域融合型ゲストハウスを運営する河本純吾さん。
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会場には約40名の参加者が集まり、今回は3分の2が女性です。みなさん、もう飲みたくてたまらない顔をしていますね。

それでは、ほっとけないどう流で乾杯の挨拶を。そろそろ定着してきたかな?「どうなっちゃうのを?」「やっちゃうの!」。挨拶の後はお隣同士で「よろしくおねがいしまーす!」と交流が始まりました。

これだけは覚えてください、道産酒米は「吟風」「彗星」「きたしずく」の3種です

今回用意されたお酒は北海道に由来するお酒。と言っても北海道の酒蔵で作られたものだけではありません。共通するのは北海道産の“酒米”を使用していること。

酒米とは日本酒を醸造する際に使われるお米で、雑味の原因となるタンパク質や脂肪分の含有量が少ないことが特徴。北海道生まれの代表的な酒米は「吟風」「彗星」「きたしずく」の3種。今回はそれぞれの品種を使った道内・道外の日本酒を計6本用意しました。

3つの酒米の特徴を挙げると、「吟風」はしっかりとした芳醇な味わい、「彗星」はフルーティかつ淡麗、「きたしずく」は雑味が少なく柔らかな味わい、と三者三様。さらに、醸造される土地や気候によって様々な変化を見せます。

お酒を選定したのは、東京・大塚の地酒専門店「地酒屋こだま」のスタッフ、二戸浩平さん。幼少期を北海道で過ごした二戸さんは、その知識を活かして日本酒メディア「SAKE Street」の編集・執筆も行なっているそうです。二戸さんは、ほっとけないどうのDO!民でもありイベントにもよく来てくれることから今回の企画が発足しました。
さて、気になるラインナップを見ていきましょう。用意されたお酒は……

<吟風>
・福司 霧想雫 吟醸造り(北海道釧路市 福司酒造)
・春心 特別純米 木槽しぼり生原酒(石川県小松市 西出酒造)

<彗星>
・二世古 特別純米 しぼりたて生(北海道虻田郡 二世古酒造)
・あたごのまつ 純米大吟醸 北海道限定(宮城県大崎市 新澤醸造店)

<きたしずく>
・上川大雪 特別純米生(北海道上川郡 上川大雪酒造)
・鍋島 純米大吟醸(佐賀県鹿島市 富久千代酒造)

さらに今回は幻の酒と呼ばれる、北海道根室市の地酒「北の勝 搾りたて(碓氷勝三郎商店)」を室谷さんが提供してくれました。

お酒好きならば一刻も早く味を確かめてみたいところ。会場のみなさんも心なしかソワソワしている様子です。けれど少々お待ちください。今日は用意した日本酒をより美味しく飲んでもらうために、二戸さんとホクレン農業協同組合連合会の室谷光紀さんから北海道産酒米のレクチャーがあるんです。

苦節を乗り越え花開いた日本酒文化、道産酒米の歴史

レクチャーで紹介された情報は目からウロコの連続。酒米って意外と奥が深いんですね。ここでは二戸さんと室谷さんのお話をかいつまんでご紹介します。

現在は3種の酒米が栽培され、全国的に使用されている道産酒米ですが、寒冷な気候から冷害が起きやすく、安定供給に至るまでは苦難の連続だったそうです。

食用米は「ネコマタギマイ(猫もまたいで通り過ぎる米)」として敬遠され、酒米も醸造時に重要な心白(米中央部の白く濁った部分)が出にくいため、度重なる改良が加えられていました。

本格的に栽培できるようになったのは1998年になってから。酒米が確保しづらい環境から酒蔵も全国に比べて少なく、2016年時点で11蔵でした。このように日本酒産出県のイメージが薄い北海道でしたが、近年ではそのイメージを大きく変えています。北海道産の酒米を使って全国の酒蔵に醸造をしてもらうほか、北海道酒造組合が行う道産酒のPR活動「酒チェン」によって、知名度が向上していきました。

地道な活動の甲斐もあり、2020年には新しい酒蔵「碧雲蔵」が誕生。道内14番目の蔵も上川郡東川町に設立される予定です。酒蔵が設立されることは全国でも珍しく、現在酒造が増えているのは北海道のみ。今後は日本酒の新興地域として全国で道産酒を見かける機会も増えてくるでしょう。

満を持して試飲タイム、日本酒のお味はいかに

さあ、道産日本酒のレクチャーが終わったところで、いよいよ試飲タイムに入ります。会場スタッフから続々と渡される試飲コップ。どれもお猪口一杯程度ですが、飲みごたえは十分です。

今回は北海道産のルイベ、塩辛、鮭とば、チーズなど酒の肴も豊富に用意しました。準備は万端。飲んじゃいましょう!

先陣を切る2酒は酒米「吟風」で仕込まれた「福司」と「春心」。「福司」は優しく芳醇な甘さと米の風味がしっかり感じられます。続く「春心」は立体感のある複雑な味。甘み・苦味・旨みが混ざり合ってウマイ!

続く2酒は、酒米「彗星」で仕込まれた「二世古」と「あたごのまつ」。どちらも淡麗かつ軽やかで、赤身の刺身が欲しくなります。特筆したいのは「あたごのまつ」。爽やかな香りと軽快な酸味が感じられ、白ワインにも似た風味です。

最後にお出しする2酒は、酒米「きたしずく」で仕込まれた「上川大雪」と「鍋島」。上川大雪は「ついつい飲んでしまうお酒」を目指して仕込まれたもの。透明感はありつつジューシーで、会場からも「うまい!」「これいい!」と好評でした。対する鍋島もさすがは有名蔵の逸品。発泡味がある爽やかな一献で、上品な香りが楽しめます。

残る根室の幻の酒、「北の勝」は希少品ということで、キャッシュオンでご提供。筆者も飲んでみましたが、濃い味付けの料理にも負けない骨太のお酒、という印象でした。北海道にはちゃんちゃん焼きやザンギなど濃い味付けの料理も多いですから、普段づかいのお酒はしっかりしたものが好まれるのかも。

試飲タイムが終わると、みなさんすっかりほろ酔いモード。心なしか、いつもより声量も大きいような……。でも楽しそうな様子なので良しとしましょう。

普段は北海道を盛り上げるアイデアを議論している「ほっとけないどう東京会」ですが、本日は道産日本酒を思い切り楽しむイベントと相成りました。お酒は入っていますが、いつもは真面目に進めているので、こんな回があってもいいですよね。

余談にはなりますが、今回振舞われた日本酒はどれもとびきり美味しいものばかりでした。道産品を楽しむことは、北海道の盛り上げにつながるはず。北海道の地酒を居酒屋で見かけた時はぜひ注文してみましょう。味は私が保証しますから。