第11回ほっとけないSHOW「漁業をカッコよく!」オンラインイベントレポート

2021年10月20日(水)、オンラインにて第11回「ほっとけないSHOW」が開催されました。ゲストは宮城県で活躍する一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン事務局長 長谷川 琢也さんです!

ほっとけないどう×フィッシャーマン・ジャパン

「ほっとけないSHOW」は、北海道以外の46都府県からその地域を盛り上げる活動を展開する人をゲストに迎えるトークイベントです。今回のイベントでは手法を少し変えて、事前申し込み必須・定員30名限定の有料イベントとして開催しました。
事前に参加者からの質問を受け付けて当日ゲストに答えていただく形をとることで、ゲストとの距離が近くなり、より密な交流が可能になったことが今回の「ほっとけないSHOW」のポイントです。
また、参加費としていただいたお金は全て現在のほっとけないどうの挑戦者3組へ均等にファンディングされます。イベントに参加してゲストの方のトークや交流会を楽しみながら、挑戦者を応援できる仕組みです。

第11回ほっとけないSHOWは、宮城県で活躍されている一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン事務局長 通称“はせたく”の名で知られる長谷川 琢也さんをお招きしました!

長谷川 琢也さんのご紹介

1977年3月11日生まれ。自分の誕生日に東日本大震災が起こり、思うところあって東北に関わり始める。
石巻に移り住み、石巻を拠点に被災地や東京を行き来しながら東北の人たちとビジネスを立ち上げる最中、震災復興を超え、漁業の未来をみつめる漁師たちと出会う。世界では右肩上がりの産業になりつつある漁業が、海に囲まれた島国日本では右肩下がりの産業になり、日本の漁師は20年で半減、資源管理問題でも世界からバッシングを受けている状況。

そんな漁業を「カッコよくて、稼げて、革新的」な新3K産業に変え、担い手があとをたたないようにするために、地域や職種を超えた漁師集団フィッシャーマン・ジャパンを立ち上げる。
担い手を増やすための事業「TRITON PROJECT」では、石巻市や宮城県漁業とも連携し、漁師のシェアハウス整備、漁師学校実施、漁業専門求人サイト運営等で県内や県外から漁業従事者を増やしている。
漁業活性の活動は全国に波及し、北海道利尻島の漁師団体North Flaggers立ち上げ、福岡県北九州市の藍の鰆のブランディングなども手掛ける。

その他、民間企業を巻き込んで漁業のイメージを変えるプロジェクトや、国際認証取得を目指す試み、生産者と消費者を繋ぐための飲食店事業など、漁師たちと共に未来の漁業を創るべく、奮闘中。

インターネットの力で地域の課題を解決したい

長谷川 琢也さん(以下、長谷川):こんばんは、長谷川です!宜しくお願いします。本職はヤフー株式会社で働くサラリーマンなのですが、働きながら漁業に関わることを約10年続けてきました。今日はそのお話をしたいと思います。

皆さんも良く知るインターネットの会社、ヤフーには中途で入社しました。新卒で入った会社で働いていた頃、バイクが好きだったのでバイクでいろいろな場所を旅する中で、大好きな日本の地方部に活気がなくなっていることを知りました。そのとき、「インターネットがあれば場所を問わずいろんなことができるし、自分が直面した地域の課題も解決できるかもしれない。インターネットの力で地方を元気にしたい」と思ったことがヤフーへ入社したきっかけでした。

被災地で自分にできることは何か

長谷川:働き始めてから数年経ったとき、2011年3月11日がやってきます。実はこの日は僕の誕生日でした。もちろんみなさんにとっては、東日本大震災の日ですよね。自分にとってもその事実は変わらないのですが、それまでただの誕生日だと認識していた1日が、震災によって忘れられない日になってしまいました。居ても立ってもいられず東北に向かい、個人のボランティアとして泥かきや炊き出しをしていました。

ただ、目立った体力も無い自分はあまり役に立てているような気がせず、改めて自分だからこそできることを考え直したときに、インターネットの力を良く知るヤフーのサラリーマンであることが僕の強みではないかと思ったんです。
「東北をなんとかしたい!」と会社に掛け合い、ヤフーとしてたくさんのプロジェクトを立ち上げ、ずっとその旗振り役をやらせていただいているのが今日までの僕の10年です。

東北での取り組み、その中で知った海のこと

長谷川:震災から1年を過ぎたタイミングで、会社を挙げて取り組んでいた東北での活動もどうしても下火になってしまっていたのですが「被災地宮城県にヤフーの事務所を作らせてください! 」と言うと、運よく当時の社長に背中を押してもらうことができました。

震災から10年という区切りで事務所を閉める今年まで、被災した地域の手作り品と「けん玉」をかけ合わせて発信する「KENDAMA TOHOKU」というイベントや、東北をコースにした自転車レースのイベント「ツール・ド・東北」などさまざまな活動をしてきました。
3月11日に「3.11」と検索すると被災地への寄付になる取り組みは、その流れの中で東京本社の方々が作ってくれたものです。

そうして石巻からいろんなことに関心を持ってプロジェクトを作っていたとき、とある漁師の方と出会います。作業のお手伝いをしたり、直接お話を聞いてみる中で、だんだん地方の自然の素晴らしさを知るようになりました。
生きることに欠かせない食べ物は、その多くを地方で作っています。漁業という東北ならではの産業を盛り上げることが、これからの地域の未来に直結しているのではないかと思い、そこからどんどん興味が海に近づいていきました。

海と人を繋いできた漁師が減っている

長谷川:日本では、震災に関係なく漁師の数が大幅に減っていることをご存知でしょうか?この30年の間で、元々30万人いた漁師が14万人に減り、かつ日本人が魚食から肉食になってきていることで食料自給率も年々下がっているのが現状です。
最近では、漁師の親は子どもに「勉強して漁師にはなるな」と言ってしまうそうです。古くから日本という島国を支えてきた漁業が、海と人を繋いできた漁師の人たちが苦しい思いをしながら衰退してしまうことを、見過ごすわけにはいきません。
震災の影響にも耐え、「こんなことで漁業を辞める訳にはいかない」と立ち上がろうとしていた若い漁師たちと一緒に、漁業で世界と戦うチーム、「フィッシャーマン・ジャパン」を作りました。

折れない旗を立てること

長谷川:僕らは「漁業を素敵に魅せる」ことに挑んだ、最初の人たちだと思っています。東北では、これまでいくつもの団体ができては消えていったのですが、僕らが崩れなかったのは全員で腹を割って話すことを惜しまなかったからです。
何度も何度も集まって、時には喧嘩が始まりそうになるくらいに熱く話し合った結果、自分たちで決めたという実感が強く残る理念が固まっていきました。

それが「かっこよくて・稼げて・革新的」な「新3K」という言葉です。漁業の世界は縦割りが強いため隣の浜との壁も大きいけれど、そういうものを全部壊してみんなで「フィッシャーマン」という新しい職種を目指そうよ、という想いがこもっています。
自分たちを表すキーワードができたことで、外向けのブランディングはもちろん、みんなの心を1つに束ねる内向けのブランディングにもすごく効果的でした。
「新3K」という言葉に惹かれて、人が集まり輪が広がり、それを積み重ねてきた7~8年間だったと思っています。どんな組織であれ、所属する個人の心の中に折れない旗を立てること。これが何をするにも大事なことなんだと気づきました。

漁師育成プロジェクト

長谷川:フィッシャーマン・ジャパンの取り組みとして、次世代の漁師を育成する「TRITON PROJECT」というものがあります。”漁業の縦割り社会をやめよう! ”というテーマのもと、宮城県や石巻市と手を組んだ共同事業です。
これからの地域の担い手として、地域に骨をうずめる覚悟を持った若者を集め、親方漁師とのマッチングを行っています。このプロジェクトを通じて、5年間で50人ほど漁師の数が増えました。最初は「弟子はとらない」と言う漁師の方もいたのですが、今では大きな愛をもって、新しい漁師の育成に力を貸してくれています。
自分の時間や給料を削ってでも地域に若い人を増やしたい! という親方漁師の方々のあたたかい想いに支えられて、諦めずに続けてきたプロジェクトです。

クリエイティブ×地域

長谷川:僕たちは「クリエイティブ×地域」を1つの強みにしています。数年前話題になった世界初の漁師によるモーニングコール「FISHERMAN CALL」は、いくつかの広告賞をいただくことができました。
他にもアパレルの企業と一緒に、漁師も一般の人も使えるワークウェアを作ったり、東京駅の構内に魚と野菜しか使わない、おしゃれなサンドイッチのお店を出したり、輸出を始めてみたり、絵本を作ったり......活動は多岐にわたります。
こんなことをしているうちに、今では北は北海道から南は九州まで、多くの地域からブランディングのご相談をいただける団体になっています。

活動は海を越えて

長谷川:3年前には、東北で教えてもらった海のことを多くの人に知ってもらうため、海の課題を伝えてアクションに繋げるメディア「Gyoppy!」を立ち上げました。最近では、海に限らず森や温暖化など世界が抱える課題についても知り、豊かな未来を届ける「Yahoo! JAPAN SDGs」という新しいメディアも始まっています。
フィッシャーマン・ジャパンは震災やコロナを乗り越えて、いろんな人を巻き込みたい! という想いのもと、大勢の方が関わりをもってくれる団体になりました。チームには女性や多様な経歴を持った専門性の高いメンバーも増え、活動は勢いを増し続けています。
団体名のジャパンという言葉に隠された「日本の課題を解決したい」という設立当初の彼らの想いはいつの日か現実となり、活動の幅は日本中に、時に海外にも広がっています。これからも、僕らは地域に根を張る課題解決軍団としての活動を全力で続けていく予定です!

過去に長谷川さんと共に働いていたことがあるという、ほっとけないどう東京事務局 中屋さんによると、このほっとけないどう設立の構想には、地域から地域を超えて活動を広げるフィッシャーマン・ジャパンの存在が大きかったのだと言います。

ほっとけないどう東京事務局 中屋:久々にお話を伺いましたが、勢いがものすごいですよね。フィッシャーマン・ジャパンがやっていたことが僕らの分子の1つになっているなぁ、と改めて感じました。

長谷川:本当、最近すごいんだよ。言っていないことも含めてめちゃくちゃいろいろやっているから!(笑)

中屋:見えているかっこいい面の裏に、ものすごく泥臭い部分も沢山あると思っていて。そういう時に長谷川さんが折れないでやり抜くことができる理由は何ですか?

長谷川:いやいや、全然折れてますよ。(笑)僕だけではすごく弱いです。ただ、チームの話をすると「フィッシャーマン・ジャパンは小さなコレクティブインパクト団体だ」と言ってもらったことがあります。世代やセクターを超えて、組織的にもすごくフラットで。
その中にコレクティブなやつが点々といる感じ。その時できる人ができることにワッと取り組んでいるので、折れないように頑張っていると言うよりは「構造として折れない」ということなんじゃないかな。

長谷川さんのお話の後は、Zoom会場で交流会が行われ、長谷川さん流の「組織の使い方」や「地域で多くの人を巻き込む方法」など、参加者からいただいたさまざまな質問が飛び交いました。
以前のほっとけないどう登壇者 梅ボーイズの山本将志郎さんから長谷川さんへの相談や、「長谷川さんが思う、東北で一番美味しかった海産物は?」という質問など、カジュアルに、それでいて時に熱く、参加者を交えた交流が盛り上がりました!
そして会場の熱気はそのままに、最後には地域で頑張る皆さんに向けて、長谷川さんからの熱いメッセージをいただき、イベントを締めくくりました。

大事な機能は地域にある

長谷川:これから日本が弱くなっていくだとか、そういうネガティブなことがいろいろなところで叫ばれていますよね。地域の課題も全国各地域で山積みの状態。それを僕は「毛細血管が壊死している」という言葉を使っています。
日本の大事な機能は地域にあって、都会は何かを生み出せている訳ではありません。そのことをみんながリスペクトすべきだし、地域の人はそれを誇りに思ってほしいと思います。世界とつながっているのが地域で、地域こそ日本を作っているかけがえのない場所です。
ぜひ皆さんと一緒に地域を盛り上げていけたら嬉しいです。今日はありがとうございました。

初めての有料イベントとして開催した第11回ほっとけないSHOWでしたが、ゆったりと時間を取って長谷川さんと参加者一人ひとりの質問を深掘り、交流を深めることができた密度の濃い時間となりました。長谷川さんも絶賛のほっとけない缶は、オンラインで購入することができます。
次回も’’ほっとけない’’会場でお待ちしています! ぜひお楽しみに!

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記事:いけだみほ